日本国憲法第1条

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条文とその主旨

第1条 条文

第1条(天皇の地位・国民主権):
天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は主権の存する日本国民の総意に基く。

日本国憲法第1条のこの条文は、日本国の主権者と天皇の地位を定めた、憲法の中でも重要な条文です。皆さんも中学校の公民で耳にした記憶があるのではないでしょうか?

この第1条では、象徴天皇制と国民主権について明記しています。

憲法の判例によくあることなのですが、複数の条文に関わるため「第〇条の判例」とあらわすのが
なかなか難しかったりします。一番関連があると思われる条文の判例として紹介させていただきますことをご了承ください。

関連条文

第3条:
天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。

第4条:
① 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない
② 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

重要判例

ここからは第1条に関連する判例をご紹介します。

天皇に対する損害賠償請求事件(記帳所事件) 最判平元11・20

これは昭和天皇の病気快癒のために当時の千葉県知事が県民記帳所を設け、公費を支出したことに対し、記帳所設置費用相当額を不正に利得したとして、千葉県に代位し(代わり)、昭和天皇の相続人である明仁さまに対して損害賠償請求の住民訴訟を提起したというものです。

簡単に言えば、「不当に得た利益を千葉県に返せ」と天皇を訴えた、ということですね。

この判例の重要な点は、天皇に民事裁判権が及ぶのか?ということです。

最高裁判所はどう判断したかというと・・・

天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であることにかんがみ、天皇には民事裁判権が及ばないものと解するのが相当である。

という判決を出しています。

この判決前の東京高裁でも、天皇に民事や行政裁判の被告適格があり証人としての義務がある、というのは日本国の象徴という憲法上の地位に全くそぐわないという判断をしています。

たしかに、天皇が訴えられて裁判所に行ったり、証言したりするというのは違和感がありますね。

結論:天皇に民事裁判権は及ばない

普段生活していて、こんなことを疑問に思ったりすることはほぼないでしょうが、知識として知っていると面白いですよね!

国民主権の「国民」とは?

日本国憲法には「主権の存する日本国民」と書かれていますが、では国民とはどの範囲を指すのか?
また、日本国民にしか認められないものはあるのか?といった疑問が出てきますよね。

この問題に関しては過去に数々の裁判が行われており、通説、判例の立場では

日本国民とは「日本国籍を有する者」であり、在留外国人、永住者は国民ではない。

といった判断になっています。これに関して、特に重要と思われる判例を以下に挙げます。

外国人の地方参政権についての裁判 最大判平17・1・26

憲法の国民主権の原理における国民とは、日本国民すなわち我が国の国籍を有する者を意味することは明らかである。・・・権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である。

とし、外国人に地方参政権を認めないことは違憲ではないとしています。

と同時に、選挙権を付与する法律を定めることが憲法上禁止されているわけでもないとも述べています。しかし、措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄なので、措置を講じない(参政権を認める法律を作らない)ことが違憲問題を生ずるものではないとしています。

あとがき

憲法1条、それに関連する条文の解釈、判例解説はいかがだったでしょうか?

やはり憲法1条といっても関連する条文、判例となると非常に多岐にわたるため、厳選に苦労しました。関連する判例や納得できる判例などをすべて紹介していると、「行政書士、司法書士の資格取得や法の豆知識」という本サイトの主旨から大きく外れて、もはや司法試験や趣味の領域になってしまいます(笑)

やはり勉強といっても、知識だけを詰め込むのは苦痛ですし、難しいと思います。
仕組みや背景を理解できれば、淡白な条文も一気に血が通ったものに感じられるのではないでしょうか?

これからも拙いながら、判例紹介を行っていきたいと思っております。温かく見守っていただけると嬉しいです。ご覧いただきありがとうございました。

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